Culinary Carouselで魅せた、ヴィルヒリオ・ マルティネスによるペルーのビジョン
第2回目となるCulinary Carouselは、高い評価を得ているシェフのヴィルヒリオ・マルティネスをゲストに迎え、フィレンツェのグッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラで10月12日に開催されました。レストランのオーナーでもあるペルー出身のヴィルヒリオは、グッチ オステリアの共同エグゼクティブシェフであるカリメ・ロペスと紺藤敬彦(タカ)と協業し、その夜に新発見や高揚感をもたらし、文化が出会う大切な再会の場に変えてしまうような、驚きに満ちたメニューを考案しました。
イタリアの中のペルー、ペルーの中のイタリアを表現した各料理は、遠く離れた2つの場所がまるで会話を交わしているかのようであり、さまざまな要素や環境がシェフの創造性と徹底的なリサーチによって結び付けられていました。メニューづくりのキーとなったのは、ヴィルヒリオの「外の世界のあらゆるものを探求する」という信念です。それは彼がキャリアをスタートさせた当初から、リマのフラッグシップレストラン「セントラル」のオープンや、研究機関「Mater Iniciativa」の設立に至るまで変わらず持ち続けているものです。
その夜は、食卓での文化交流にとどまらず、古い友人との再会の場ともなりました。というのも、カリメ・ロペスはグッチ ファミリーに加わる前の数年間、リマの「セントラル」で、その後ヴィルヒリオが創設した研究機関「Mater Iniciativa」で、ヴィルヒリオとともに働いた経験があるのです。同じ経験を共有しているからこそ、2人のシェフは多様なアイデアや背景、スキル、解釈などをテーブルの上で表現し、味覚の実験室のような類まれな世界を繰り広げることができたのです。
チームが披露したのは、8種類の料理です。各料理はペルーならではの生態系や高地の素材を取り入れつつ、厳選した地元の食材を生かしたものでした。希少なペルーのチュンチョカカオやアマゾン産のナッツ、セイクリッドバレー(聖なる谷)産のトウモロコシ、ピスコ酒などが、栗、コッパ(生ハム)、ペコリーノチーズ、レンズ豆をはじめとするイタリア料理を代表する食材と組み合わされ、3人のシェフのクリエイティビティや技術、知識レベルの高さが存分に発揮されました。
そして完成したメニューは、水深15メートルの深い海から海抜4,200 メートルのペルー最高峰の山まで、ゲストをさまざまな場所へと誘います。その夜を締めくくったのは、「a dish of love(愛の一皿)」と名付けられたシェフタカによるスパゲッティでした。この料理は、タカとカリメが当時モデナとリマという遠距離で愛を育み、リマ(カリメがヴィルヒリオとともに働いていた場所)で束の間のひとときを共に過ごした思い出がモチーフになっています。
この夜のイベントは今年スタートした、遊び心あふれるダイニング体験を提供するCulinary Carouselシリーズのひとつです。その驚きに満ちたメニューには、さまざまな食文化に宿る美が表現されており、世界有数のシェフたちならではのクリエイティビティが際立つ内容になっています。グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラのスピリットを明確に示す本イベントは、クリエイティブな試みやさまざまな食文化からのインスピレーションを取り入れつつ、フィレンツェという場所に伝わる食の伝統や、シェフであるマッシモ・ボットゥーラの食に対する哲学に忠実であり続けています。
メニュー:
. Dark Blue Pacific 15m BSL: イタリア産レモンを使用したホタテのレチェ・デ・ティグレ(魚介のソース)がけ、香ばしく仕上げたユヨ&ブルースピルリナ(海藻類)添え、生ウニと赤キュウリのトッピング
. Extreme Altitude 4200m AMSL, Pecorino: ペルー・クスコ地方のセイクリッドバレー(聖なる谷)産のコーン、紫コーンとイタリア産ペコリーノチーズのピューレをかけたアンデス産の穀物添え、コーンとキウィチャ(穀物の一種)チップのトッピング
. Desertic Coast 0m AMSL, Lentils: レンズ豆で和えたイカのスライスに、コースタルペッパーと新鮮なコディウム&サルガッスム(いずれも海藻の一種)をトッピングした、海岸線の砂漠の生態系を表現したメニュー
. Chianti Hills 230m AMSL, Sweetbread: トスカーナ地方の田園風景をオマージュしたカリメ作のスイートブレッド、ポルチーニ茸をはじめとする食材の宝庫である同地方の秋をイメージした一皿
. Hillside Valley 2300m AMSL, Coppa: ペルー料理の伝統的な食材であるワカタイ(ペルーのハーブ)とアンティクーチョ(パンカとして知られるチリを使ったソース)でマリネし、イタリア産コッパのサラミでとっただしをかけ、ロシュカボチャのピューレ、オユユ(アンデスの芋)のスライスとワカタイオイルをかけたロシュで仕上げた、2つの表情を持つの豚の頬肉料理
. Coastal Flora 500m AMSL, Grapes: スポンジのようなココナッツとペルーを代表する蒸留酒ピスコを使ったシロップに、パロサント(聖なる木)を煎じたソースとココナッツパウダーをかけ、ブドウとムーニャ(薬草)を使ったアイスを添えて
. Mountain Amazonia 900m AMSL, Chestnut: チュンチョカカオ(標高の高い場所で生育するペルーの固有種)と栗のムースを混ぜて、舌触りの異なるカカオと甘みのある根菜ヤーコンを使ったシロップをかけ、アイスと細かく刻んだアマゾン産ナッツを添えて 最後を飾るのはサプライズが詰まった料理である
. Artichoke Ceviche Spaghetti: 「愛の一皿」とタカが命名した一品で、イタリアの隠れた伝統料理である真夜中に供されるスパゲッティにちなんでいます。モデナとリマで遠距離恋愛をしていたカリメとタカが、リマで一緒に楽しんだセビーチェの思い出を形にしたものです。セビーチェの伝統食材である魚の代わりに、彼はフィレンツェの地元野菜であるアーティチョークを使いました